食器と本は同じ量を持ちたいと思ったのは料理家になりたての頃。果たせていない夢はたくさんありますが、77歳になった今、食器棚と本棚は、ほぼ同じ大きさで部屋を圧迫しています。
本棚に先輩料理家の旬時記やエッセイ、伝記はかなりの冊数ありますが、なぜか料理の本は意外と少ないのです。自然科学や古代史、旅行記に小説と料理に関係のない本も多いのですが、そこからも仕事への影響はたくさん受けています。
料理や生活習慣は親から学ぶのが理想なのでしょうが、実母ではなかったせいか、お互いの遠慮で一緒に台所に立つということがなかったのです。
美しい手さばきで美味しい料理を作る義母でしたから残念な気もしますが、味覚はしっかりと鍛えてもらったと感謝しています。話が横道にそれてしまいましたが、料理の学びは人それぞれで、そして生きている間、学び続けられると思うのです。
最近影響を受けているのはYouTube、それも料理研究家リュウジさんのバズレシピ。偶然に目にした「エンドレス鶏むねキャベツ」。
ザキザクと切ったキャベツを鍋に入れ、塩こしょうした鶏胸肉を上に乗せ、少しの酒と水、塩を加えて蓋をし、40分ほど煮て箸で鶏をほぐし、塩こしょうで味を整えオリーブ油をたらすスープ料理(YouTubeを検索してみてください)。今までやったことのない料理法なので作ってみました。一口いただくと心に染みる優しい美味しさ。なんだかワクワクして数日間で彼の料理を20品ほど作ってみました。全てが美味しい!簡単、経済的、ヘルシー・・・家庭料理として理想的です。私も長年、忙しくて、時間もない、それなのに美味しいものは食べたいと思う、若い頃の私のような人に役立つ料理を目指していたつもりだったのに、何をしていたのかしら。
リュウジ氏にはYouTubeのフォロワーが500万人!いるそうですが、この奇跡の数字にはやはりそれなりの理由があったのですね。
彼のレシピで親子丼も作ってみました。ついでに人気料理家のYouTubeも覗いて比べてもみました(しつこい性格なのです)。「鶏肉を小さく切るのは、口に入れたときに必ず肉の1片が入っているとうれしいでしょ」「玉ねぎを繊維を断ち切るように切ると、柔らかく煮えてトロトロの卵との相性が良いからです」と全てに説明があるのはやはりリュウジ氏です。なぜそうするのかを聞きたいですね私たち。私も皆さんのお役に立つために、もっとさまざまなことから学んで、もう一歩皆さんに近づきたいと思います。