2022年1月1日

NO.107「お鍋の中は美しく」 県P新聞 令和4年1月号から

寒い季節、背中がゾクっとする日があります。風邪のひき始めでしょうか。あわててマフラーをまいたりコートを羽織ったりもしますが、身体を急いで温めるのには温かい食べ物や飲み物をとるのが手っ取り早いです。温めた牛乳、ショウガのすりおろしの入ったおうどんやお湯なんでも良いのです。

体が冷えたなーと思ったら温かいものをぜひ一杯。それだけで明日も元気に仕事や勉強を頑張れるかもしれません。

寒い日の夜に鍋物はいかが。身体が温まるだけでなく栄養のバランスも取りやすくて、何より料理が簡単でしょ。

少し話が横道にそれますが、お鍋というと思い出すことがあります。

ある放送局の忘年会でした。乾杯が終わり私がカセットコンロに火をつけました。
鍋の中に黄金色の出汁(だし)がキラキラとしておいしそうです。

突然、前に座っている若い女性が皿をヨイショともち上げて、鍋の中に全ての材料をザーッと流し込んだのです。まだお出汁は沸騰していません。鍋の中はまるで生ゴミ状態。私はショックで固まりました。涙目になっていたかもしれません。怒ったかですって?いいえ注意したとしても後の祭りです。それまでも豆腐やシュンギクを最初に入れた人などは見てきましたけれどその女性が最もダイナミックでした。おいしかったかですって? 食べたかどうかの記憶さえもありません。

皆さんもこの話に驚きましたか。わが家もそうしますなんて言わないでくださいね。

全ての料理、最も大切なのは清潔感です。お鍋の中はいつもすっきりとさせておきたいもの。煮えたものと生のものがゴチャゴチャに混ざっているなんてダメですよ。お鍋によって作り方はちがいますが鶏とりの水炊きなどはまず少しスープを味わってから鶏を煮てポン酢でいただいて、その後、きのこ類や豆腐、野菜をいただいてから雑炊や麺でしめます。お鍋の中はいつもコトコトと優しく沸騰した状態です。ガタガタと激しい沸騰はお出汁を濁らすだけで燃料の無駄遣いでしかありません。コトコトでもガタガタでもお鍋の中の温度は100度なのです。

私の好きなブタの薄切り肉とレタスのお鍋をご紹介しましょう。

準備するのは豚肉の薄切り三枚肉でも肩ロースでもお好みで。あとは5センチに切った玉レタス。出汁6カップ、塩小さじ1、みりん大さじ3、薄口しょう油大さじ4を鍋に煮立てて豚肉とレタスを煮ながらいただくシンプル鍋ですがキノコや豆腐は好みで加えてください。