
テレビの中でキリッと美しい女性がインタビューに答えています。彼女の職業はヘッドハンター。世界中から管理職や社長候補を探して企業に紹介する仕事なのだそうです。
「採用の決め手はなんですか」とインタビュアー「経歴、実績はもちろん大切ですが、最終的に大事なのがその人の教養です」
教養かぁ、そういえば以前、青少年の更生施設に勤めていた方が「規律や決まりを守る習慣を身につけることも大切だけれど、教養の芽を手に入れた若者は必ず更生して社会に適応していきます」とおっしゃいました。
ところで「教養」。この言葉の本当の意味はなんでしょう。読書、クラシック音楽を聴く・・・うーん、そんなことでもないような気がしますね。AIチャットくんに聞いてみましょう。
「教養とは幅広い知識や文化、倫理観を持ち、他者とのコミュニケーションや社会生活を豊かにする力です。さまざまな経験や学びを通じて形成され、人間性や視野を広げる要素として重要です。単なる知識の蓄積ではなく、思考や行動に深みを与えます」なるほど。そうであるならば「教養」は生きる上での力強い友になりそうです。
人から投げられた心ない言葉、そのまま受け取ってただ傷つくだけなのは悲しいでしょ。その言葉の持つ意味、その時の状況、相手の立場を分析できれば、言葉は意味を失います。教養が防御の力になるのです。困難に見舞われた時も教養という心の余裕がそのことに向き合う力にもなるはず。学校の勉強ももちろん大切ですが、子どもさんが興味を持ったことを見守ってください。ときには目をつぶってください。私の子どもの頃の興味は漫画と空想でした。親から見ると漫画ばかり読んであとはボーッとしている心配な子だったと思います。漫画が読書へ、空想がイメージトレーニングする習慣になったのはずっと後のことでしたが。
最後におすすめの本があります。『眼述記』(高倉美恵著・忘羊毛社・1750円)。新聞記者の夫君が49歳で脳梗塞に倒れ全身麻痺になり、その看病の最中に妻も2度のがんにかかりながらの10年にわたる介護録・・・こう書くだけでこちらも絶望的になりそうな本ですが。なぜか笑いながら読み終えました。ごめんなさいね。読みながら自分の心が柔らかくなるというおまけもいただきました。この状況で、なぜ希望を失わなかったのか。読んでいただければ、高倉美恵さんと夫君である矢部明洋氏の教養の力に納得をされるでしょう。そして教養の行き着く先はユーモアであることにも。