
目的を決めて計画的に行動する旅行も良いですが、ふらりと出かけて移動の途中の景色や小さな出会いを楽しむ旅も良いものです。
飯塚での打ち合わせが1時間で終わったので、周辺を少し散歩すると、住宅街に煉瓦造りの巨大な建造物が。三菱飯塚炭鉱の「巻上げ機台座」でした。炭鉱の坑内に人や資材を送ったり、掘った石炭を載せたトロッコを巻き上げたりする機械の台座だそうです。戦後の日本の復活を支えた誇りと風格ある姿に心を打たれてしばらくたたずみました。
教えていただいた和食のお店はきちんとした昔ながらのお味でした。雑貨屋さんと文房具屋さんもさすがの品ぞろえ。江戸時代は長崎街道の宿場町、大正から昭和にかけては炭鉱の町として栄えた場所。その豊かさをしっかりと感じとり、立ち去りがたい気分のまま、福北ゆたか線に乗り、あっという間に博多駅に到着。大満足の小さな旅でした。
お盆前に仕事で宮崎、熊本に出かけました。博多駅のバスターミナルから五ヶ瀬町役場前まで3時間と少し。福岡の中心部を抜けると青空と緑、日本の自然はまだまだ美しい。冷房が効いた車内で時々ウトウトしたら3時間なんて短いくらい。町役場前のバス停から迎えの車で仕事先へまっしぐらの予定が、途中「幣立神宮」の表示・・・。お参りしないで通り過ぎるわけにはいきません。九州のへそと呼ばれる山都町にあり1500年の歴史があるといわれる神社。鳥居をくぐって150段の階段を上り、五百枝杉(いおえすぎ)やヒノキのご神木に囲まれたずがすがしい本殿に、心を込めて手を合わせました。
その日の仕事先は近くの五ヶ瀬ワイナリー。地域で栽培されたぶどうだけを使う希少なワイナリーです。標高600メートルの寒暖差の大きいこの地で醸されたフルーティーで糖度と酸味のバランスの良いワインの数々。ワイナリー横のショップであれ頃と迷い購入しました。隣接するレストランでは阿蘇の外輪山を眺めながら地元の美味しい食材を使った料理をビュッフェスタイルで楽しみました。
ニュースを見れば観光地はオーバーツーリスムとかで人人人、あちこちでトラブル。今はまだ人気観光地ではないところでも、自然や食の本物の豊かさがあることを知った幸せな夏でした。
電車数駅先に必ず美味しさや美しさがあるのが私たちの住む九州。ふらりと小さな旅に出かけてみませんか。