2022年3月1日

NO.108「お正月はなぜめでたいのでしょう」 県P新聞 令和4年3月号から

今年の旧正月は2月1日でしたが、それにしても今ごろ、お正月の話って少しずれていますよね。まあ来年の参考にと思って読まれてください(鬼さんから笑われるかもですが)。

「しめ縄ってなんですか」と聞いたのはテレビ局の若い女性でディレクターさんだったそうですが、それくらい正月飾りをしない家庭も増えたということかもしれません。確かに昔より正月のめでたさが薄くなっている気がします。

「正月といっても31日の次の日というだけじゃん」と言われれば確かにね。それならばなぜこんなにも長い年月私たちは新しい年を祝ってきたのでしょうか。

暦が月の満ち欠けをもとに太陽の動きを加味した「太陰太陽暦」から明治6年に太陽の動きをもとにして作られた「グレゴリオ暦」に変わって、今の1月1日はまだまだ寒くて、初春を祝うという感じにはなりにくいですが…。

ここから古代人になったつもりで読んでいただきたいのです。私たち人類はいつもお腹を空すかせていました。まだ農業の発明もない大昔は、人間の方が大型の動物に狙われるなど危険も多く、常に飢えとの戦いであったのだと。日本でほとんどの人が、お腹なかいっぱい食べられるようになったのは第二次世界大戦のあと少し落ち着いてからです。お年寄りの中には空腹の経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

寒く暗い冬になると、食べ物となる植物も枯れてしまいます。狩りも思うようにはいきません。川も湖も凍ってしまい魚も採れません。明日どころか今日食べる物がない怖さ、想像してみてください。もうダメだと思ったその時、太陽の力が戻り明るく温かくなり小鳥がさえずり始め、動物も子を産み、植物も芽吹き始めます。その時の喜び…世の中が新しく蘇ったのです。うれしくて太陽や何か大きな力に感謝し祈ったに違いありません。続く命への喜びです。

昔、全国の縄文の遺跡を巡りましたが、祈りの場所の多さ、多様さに驚きました。

太陽のパワーを無料で使わせてもらい(ここは私の思い込み)命が続いていくことを喜び感謝しそれが永遠に続くことを祈るのに人種も宗教も関係ないのです。しめ縄を飾ろうとか三社参りに行こうなどと言っているわけではありません。

一年のけじめとして嫌なことマイナスなことはリセットして新しい希望を持つ日と考えてお祝いましょう。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。