2022年11月1日

№112 食事は姿勢良く美しく 県P新聞11月号から

 田んぼの真ん中にある古民家カフェ、美魔女がオーナーです。

 先日知人と久々に訪れました。窓の外は黄金色に輝く稲穂の波。熱々のスープとパンとサラダ、デザートとコーヒー。至福の時間です。

 そこへ若い女性のお客さま。なかなかおしゃれな二人連れ。部屋の真ん中に置かれたソファー席が気になる様子です。「そちらは召し上がりにくいので窓側のテーブルにどうぞ」とお店のマダム。二人は「ここで良いです」とフカフカの椅子に身を沈めました。

 こっそりこういう場面を観察するのが趣味の困ったおばさんがいることに二人は気がつきません。

 料理を運びながら、もう一度マダムは窓際の席を勧めました。「デザートをこちらでされてはいかがですか」。それでも二人は動きません。

 さあこの後どうなるかみなさん想像できますか。

 テーブルはとても低くソファはフカフカ。分厚いスープボウルに入ったスープは熱々で、とても持ち上げていただくことはできません。そうなるとスプーンですくったスープに口の方を近づけるしかありませんね。それにしても食べにくそうです。

食事のマナーで一番嫌がられるのは「犬食い」(極端な前屈姿勢で食べる姿で周囲から見苦しいとみなされる)です。せっかく素敵なカフェにおしゃれをしてきたのにこの所作では台無しです。いつか美しい姿勢で食事する大切さにも気づいてほしいとひっそりと思うおばさん(私)でした。

 お箸の持ち方やクチャクチャ音を立てて食べることなどには気をつけていても、姿勢にまでは気が回らないこともありそうです。ちなみに口をきちんと閉じてもぐもぐすると口から音は漏れませんよ。

 意外な気がしますが、器を持ち上げないのがマナーの国は多いのです。韓国やフランスなど多くの国ではコーヒーカップなど小さな器以外は持ち上げません。だからスプーンが発達したのかもしれません。肉用の大きな西洋皿を持ち上げていただくのはやはり格好悪いです。これは文化の違いですからお互い尊重したいものです。

 低いテーブルでコーヒーや紅茶を頂く時は、カップだけでなく左手にソーサーも持ち、良い姿勢でいただきましょう。

飲食時の姿が美しいだけでとても素敵な人だと思われるのですよ。