2022年12月22日

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№113豊かに言葉を使いましょう 県P新聞1月号より

 レストランで食事が終わり、お店の方に「お皿を下げてくださる」とお願いしました。彼は何を言われたのかわからない様子でキョトンとしています。「お皿をかたづけてください」と言い直しました。マスクでわかりませんでしたが外国の方だったかもしれません。子どもさんたちは「下げる」が「片付ける」という意味もあるのを知っているでしょうか。

 若い方に「予定が、めじろ押しで時間がないの」と言ってしまい、なんでそこで「メジロ」が出るのって顔をされたこともあります。小鳥のメジロは押し合って並んで枝にとまる習性があるので、物事が集中してあることを目白押しっていうのですが今はあまり使わないのですね。日本人のこういう風に何かに、なぞらえた言い方はユーモアがあって好きなのです。

 ナスをトラにむいてください。大根をさいの目に切りましょう。人参を千六本にしてください。おわかりになりますか。ナスの皮を縦に一つとびに縞に剥くことトラの模様に似ているでしょ。さいの目は1センチくらいに小さな立方体に切ることで、千六本はマッチ棒の大きさに切ること。

 とても初歩的な料理用語ですが料理をしない人にはわかりにくいかもしれません。

 私の母の世代はご飯をつぐことを、ご飯をよそおうと言っていました。エレガントですね。煮物に鍋より小さいフタを具材の上にかぶせて少ない煮汁で炊くことを、落としブタをするといいますが、蓋を床に落とすことと思っている人がいるという笑えない話も聞きます。

 今まで書いてきたことは別に知らなくても同じ意味をもつ言葉はたくさんあります。だから少しの優越感を覚えるためにだけに使う必要はありません。

 私も若い方の使う言葉がわからず戸惑うことも多いのですが、それはそれで面白いと思ったりもします。もちろん調べますよ。

 気をつけたいことは自分の苦手なことわからないことを人は非難しがちなのです。意味がわからない言葉を古めかしい。若者言葉を行儀が悪い等と言ったりせず、年齢を超えて大いに会話を楽しみましよう。言葉の世界は豊かです。言葉はそれぞれの意味と響きを持ちます。一つの言葉を覚えると自分の世界が広がります。

 また会って話がしたいなーと思われる言葉豊かな人になっていただきたいと思います。