2023年3月1日

№114 質問は全て尊いです 県P新聞3月号から

 短大を卒業して栄養士の免許を取得して保健所の手伝いなどしていたら、何を勘違いされたのか料理を教えてと言われて、突然、先生と呼ばれる身になった私。短大では調理実習は週一度程度、家の手伝いなど全くしなかったので正直にいうと料理は下手でした。
 私は大慌てで、付け焼き刃的な料理の練習を始めました。にわか仕立ての先生だから、教室前の恐怖は半端ではありません。大の勉強ぎらいだったはずの私がいきなり猛勉強。教える料理を繰り返し作り、教室で喋ることを「おはようございます」というところから全て原稿にし、質問を予想して、その日に使う食材の栄養価や特徴を調べました。グーグルなどで調べられない時代、本箱に本が溢れました。
 ところが先生と呼ばれるようになってから十数年がたったころ気がつきました。質問する人が少ないのです。ほぼいないといってもいいくらい。質問ありませんかと声をかけると、気のせいか部屋が凍りついたようになります。
 思い出しました。私は人生で2度、質問で嫌な思いをしました。
 1度目は学生の頃19歳。教育実習で5年生を担当することになったのですが、教育委員の方が質問ないですかと言われた時に数百人の学生がシンとしたのです。そこで調子乗りの私、ハイと手をあげて大勢の視線を浴びながら質問しました。指導素材に紙芝居を作ろうと思うのですが5年生に紙芝居は子ども扱いしすぎでしょうかと…。何が気に食わなかったのか指導教官は烈火のごとく怒りました。「学年別に何をしろという資料を作って渡せというのか」と…。そんなこと、これっぽっちも言っていないのに、私は溶けてなくなりたいほど打ちのめされました。
 2度目は大人になって勉強会で質問した時。その内容はページの都合で書きませんが、鼻でせせら笑われました。ニヤニヤしながら「そんなこと聞いたこともない」…私は顔が炎上しました。
 とても不快な記憶ですが、おかげで私は質問者に優しくなれた気がします。そんなの自分で調べなさいよと言いたくなることでも勇気を出して手をあげてくださったと思うとうれしいです。内容のある質問だと。その場の全員に役立ちます。
 質問することはとても勇気がいります。バカな質問と言われる怖さもあります。
 どんな質問も尊いです。それを否定するのは答える側の余裕のなさかもしれません。質問はその人を成長させ周囲を豊かにし先生を鍛えてくれます。
 質問力を磨きましよう