2021年7月1日

NO.104「台所は危険がいっぱい」 県P新聞 令和3年7月号から

 コロナ禍で外出が減って子どもたちと一緒に過ごす時間が増えたとしたらそれは家族と一緒に台所に立つ絶好のチャンスです。

 私は若い頃、忙しすぎて子どもが台所に入ってくるのが嫌でした。足手まといになって。いつもより料理にずっと時間がかかるから。悪い母親ですね。気持ちの余裕がなかったのです。

 料理に興味を持たせる。料理を覚える。それも、もちろんですが、もっと大切なことは子どもたちに「台所は危険がいっぱいだ」と知ってもらいたいのです。

 いろんな種類の刃物、沸騰したお湯、それ以上に高温になる油、電子レンジの取り扱い。安全な付き合い方を覚えるのは実践しかありません。

 経験がないと油が怖いから材料を遠くから投げ込む。危ないですね。落ち着いてそっと表面に近いところから落とすことを教えましょう、きっと一度で覚えてくれますよ。

 茹(ゆ)で物をした熱いお湯をシンクに流すときは「熱いものが行きますよー」と、声をかけて流しから少し離れてもらいます。手を出さないようにしっかり言い聞かせてください。手伝いたいと思ってザルを押さえようとするのが人間の心理ですから。複数で台所に立
つときには声を掛け合うのがルールです。

 包丁を使った後は手から離さず、すぐに洗って安全な場所に置きます。汚れた調理器具の入っている洗い桶に入れるなんて一番してはいけないことです。包丁を置く場所は決めておきましょう。刃先を決して人のいる方向に向けないようにするのはマナーでもあります。

 電子レンジで牛乳を温めていてレンジのドアを開けたら全部噴きこぼれていたという経験はありませんか。これは突沸(とっぷつ)という現象です。

 液体は100度を超えると沸騰するのですが、条件によって沸騰しないことがあるのです。これを過加熱と言い、振動や塩や砂糖を加えるなどの小さな衝撃が加わるだけで突然激しく沸騰して中身が飛び出します。

 牛乳や豆乳やカレーなどのトロミがあるものは少し大きめの余裕のある入れ物に入れて短めにタイマーをかけます。時間は経験者がアドバイスしてあげてください。お鍋の中でも同じ現象が起こるのでお鍋も余裕のある大きさを使いましょう。シチューなどは少し弱めの火加減で時々混ぜながら温めます。

 少し脅かしすぎたかもしれませんが台所で安全に作業すること、注意深く動くことは生活のあらゆる場面で役にたつと思います。